Madagascar 4 : 神降臨!旅は道連れ世は情け。

もし・・・たら、れば。

朝6時。タクシーブルースに備えジーンズの下にレギンスを履き、ジャケットの下にパーカーを着込み、貴重品の腹巻きを巻く。
荷造りをして7時前にレセプションへ行くもデマの姿は無し。まぁね〜オンタイムに来ることなんて最初から諦めてますけど。
それにデマだって昨日で疲れてるだろうし。

5分が過ぎ、10分が過ぎ、15分が過ぎ・・・ったくあのヤロー!!
しょうがない、トゥクトゥクでタクシーブルース乗り場へ行こうかと思い始めたその時、宿のオヤジが
「彼に聞いてみなよ。」
「え?」
指差した先には、イタリア人と思しき中年男性が三菱パジェロに荷物を積み込んでいた。前夜レセプション兼レストランで見かけてにこやかに挨拶してくれたのを覚えてる。
「彼、スィラベまで行くから」
「スィラベ?」(スィラベって何?どこ?)
「スィラベはタナ(注:アンタナナリボのこと)から2時間だ。」

!!!!!!

コミュ障に遠慮しぃ、さらに人見知りが拗れたどうしようもない性格の私だけど、背に腹はかえられぬ。おずおずと声を掛けた。
「すみません・・・これからスィラベへ行くと聞いて。もし良ければ、乗せて頂けませんか?」
「OK。」
えええええーーーいいの?マジで?
神降臨!!
「いいけど、どこまで行くの?」
「タナです。でもスィラベはタナへの途中で、タナから2時間くらいだってオヤジが言うから。」
そこでオヤジが
「彼女、飛行機って言ったけど飛行機は明日までないからさ」
と助け舟を出してくれる。
「いいよいいよ!乗って行きなさい!荷物はそれ?手伝おうか?これから朝食を食べて、それから出発だ、いいかい?」
「もちろん!」
奥さんも部屋から出てきたのでご挨拶をしてお礼を言う。

ローカルの屋台でコーヒーを飲んでから宿のオヤジに「スィラベってどこ?」と聞くとアンツィラベのことだった。
アンツィラベ。そりゃー近いわ。アンツィラベまで行ければどうにでもなる。2時間ならタクシーブルースだってきっと楽しめる!

 

もし、デマが超真面目な奴だったら。
7時に迎えに来てたかもしれない。

もし、デマが7時に迎えに来てれば。
私は今頃タクシーブルース乗り場に行っていただろう。

そしてもし、そこでタクシーブルースが満席だったら。
3万円出して翌日の飛行機を買ってた。

さらにもし、飛行機も席がなかったら。
この街で足止めをくらい、日曜のCOTISSEでタナへ戻っていた。

けれど私は、運に味方され人に恵まれ、COTISSEより快適な車でアンツィラベまで行ける!
もう、感謝でいっぱい。
ありがとうございます!!!

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アンツィラベへの快適な8時間

イタリア人のマッシモ(51歳)とマレリア(42歳)ご夫婦は、レンタカーを借りて約1ヶ月マダガスカルを旅しているとのことだった。
マッシモはギタリスト、マレリアは書店員。2人共英語はあまり得意でないようだったけど、旅するには困らないくらいフランス語が出来る。
とても仲が良く、可愛らしく、そして2人の明るい笑顔は周りをも明るくする。

すれ違う車や追い越しさせてくれた車に手を挙げて挨拶し、検問の州兵に笑顔で挨拶して。
「ボンジュール!」「どこまで行くの?」「アンツィラベまで」「気を付けて良い旅をね」「ありがとう、良い一日を!」
そんな会話をして。
「ボンボン!」と走り寄ってくる子供や、鍬を持ったおじいちゃんにも挨拶して飴を渡して。
にこやかに全てを楽しんでるその姿は、見ている私のことも幸せにしてくれた。

 

人様の車に乗せて頂きながら写真を撮るわけにも寝るわけにもいかず、ひたすら外を眺めながらアンツィラベへの路の途中で、私はアレコレ考える。

道の悪いこの国で、重宝されてる車が日本の4WD、パジェロやランクル。地球の裏側の島国でも日本の車が信用されてるのは日本人として誇らしく思う。最近アレコレ問題もあってニュースになってたりすることもあるけれど、「壊れず頑丈で信用できる日本車」がそんなことしちゃいけないんだよ。絶対の信用なんだから。
地球のどこでも日本人は真面目で嘘をつかない人たちだと信用されてるんだから。その日本が企業の利益ばかり追求して、嘘ついちゃいけないんだ。それは自分たちの首を絞めることになる。

裸足で子供たちが楽しそうに走ってる姿を見ると、35歳にもなって結婚もせず子供もいなく旅をしてる私は、動物としては失格だなぁと思う。
もしここに生まれてたら、大きな子供がいて、私は畑を耕してたのかな、とか。
アンタナナリボでフランス語とマダガスカル語を話してどこかのオフィスで働いてたのかなとか。

日本は落ちぶれてきてるとはいえど、飴1個で大喜びしてる子供たちがいるこの国より遥かに豊かであることは間違いなくて。
私が、日本が、この国の人たちの為にできることってなんだろう。
支援は、その時その瞬間で終わってはいけないし、自己満足ではいけない。彼らが自力で持続可能な支援って・・・なんだろう。

考えても答えは出ない。

旅は道連れ余は情け。ご厚意に甘えまくりな夜

夕方、アンツィラベへ到着。
「どうする?これからタクシーブルースに乗る?」
「どうしよう・・・乗ろうか、ここで1泊しようか・・・」
今からタクシーブルースに乗ってもタナに着くのは夜。一人旅をしてる時に、暗い中の移動は避けたい。
「私たちはGreen Park Hotelに泊まるけど、一緒に来る?」
「いいですか?」
「もちろん!」
同じホテルに1泊することに。中庭に公園と池があるコテージ式の可愛らしいホテルだった。

「一緒に夕食を食べよう。遠慮はいらないからね!」
そう言ってくださり、一緒にビールを飲み、夕食を食べ、アレコレ話して、久々に楽しい夜だった。
おまけに。夕食、ごちそうしてくれた。
「ダメダメ!!ちゃんと払うから」
そう言っても受け取らず、
「明日の朝食、ごちそうしてね☆」
そんなぁ・・・・車に乗せてもらい夕食まで・・・・朝食なんてたかが知れてる額なのに。

さらに
「もしよかったら、明日タナまで乗っていく?」
「え・・・あの、ご迷惑じゃないですか?」
「全然!!ホテルまでは送ってあげられないけど・・・。」
「いいですいいです、どこかの道で下していただければ、歩くなりタクシー乗るなりできますから!」

もう、泣きそう。

 

翌朝7時に約束をして、「おやすみ」を言って別れた。

人のやさしさと温かさに触れた一日。
人を傷つけるのも人だけど、人を救うのも人。
今後、自分が大変な時も辛い時も、笑顔で人のことを助けられる人になりたいと思った。

今日覚えたイタリア語。蚊取り線香は「ザンピローネ」。
多分、一生忘れない。w

 

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