Madagascar 3 : 叶えた夢、払う代償

子供の頃、実家の本棚にあったサン・テグジュペリの「星の王子さま」。シンプルな絵がかわいく簡単そうだと思ったのに、実際に読んでみたら内容が難しく、全然意味が分からなかったのを今でも覚えてる。
あの本は、今でも実家の本棚にあるのかなぁ・・・

見られなかった朝焼けのバオバブ

はるばる日本からバオバブを見に来た35歳は、早朝4:15に起き出して、眠い目を擦りながら準備をする。もう、メイクをする余裕なんてなくてコンタクトを入れて日焼け止めを塗るので精いっぱい。早朝の寒さは身に堪える・・・。
ちなみに前夜は髪も洗ってない。「小奇麗に」をモットーに旅をしているけれど、なかなか厳しいこともある。w

 

約束の4:45に車を待つも来ない。まぁそんなもんだよねー。バックレられなければいいだけだから気にせず待つと5時すぎてデマ到着。カローラに乗り込みバオバブ並木へ!!
っていうかデマ、あんた酒飲んでるでしょ??

バオバブ並木に到着して日の出を待ったけれど、残念な天気だった。というかマダガスカルに来てから毎日こんな感じ。朝は「雨?」と思うくらい靄がひどく、うす曇りの天気の毎日。

朝焼けも見られず、太陽もなし。うーん・・・・これだったら早起きせず、昼からでも良かったかも。

霞の中のバオバブを見て、車で少しウトウトして、デマに連れられてローカルの食堂でコーヒーを飲んで・・・そしてキリンディー森林保護区へ。

キリンディー森林保護区

キリンディーへ到着し、受付へ行くと日本人の女の子が一人。
Kさんは、西アフリカの某国で働いており、旅行でマダガスカルへ来たとのことでフランス語OK。ご一緒させて頂いて、ガイドさんとともにキリンディーを回った。

キリンディー、入場料(ガイド料込)は45000Arとなかなかのお値段だけど、ワオキツネザルが間近で見られて予想以上だった。ちなみにバンガローに泊まることが可能で、夜はもっと動物が見られるとのことなので(ここでみられる動物のほとんどは夜行性)、時間とお金に余裕がある方は前もって予約をして泊まることをお勧めします。
 

お腹がすいた私たちは、キリンディーのレストランでランチ。こういうところは外国人料金でビックリするほど高い。スパゲッティのお値段24000Ar。
味は悪くない。けど麺がね~~、給食の「ソフト麺」を細くした感じです。w

 

ドライバーやガイドのオヤジ共と日陰でのんびりしつつあれこれ話すと、みんな素朴でかわいくて思わず笑いたくなっちゃう。

「空港でおじさんに捕まって、俺の車は4WDだから!!って言われたのに実際の車はアレだよ!!」というKさんの車はふるーいふるーい、赤いルノー。とても可愛らしいルノーだけど・・・4WDかは謎。でも定年後のお仕事でドライバーをしてるオヤジはメタボなお腹と抜けた前歯が可愛らしく憎めない。w

デマは若干チャラい兄さんだけど、「君は僕と結婚してマダム・デマになって、ここに住めばいい」と、私が笑って断るのをわかっててそういうことを言うから、これまた憎めなかったりする。ほんと、みんな明るいよね。

一人、英語ができるオヤジは「日本語を勉強したい」と言って、一生懸命に数字と「ワオキツネザル」「チャイロキツネザル」「コンニチワ」と練習してて。これまた可愛いなと。
「なんで日本語?中国語勉強したら?空港でも飛行機でも、いっぱい中国人見たし、これからもっと増えるだろうから。チャンスは広がるはずだよ」そう言うと、「中国人はダメだ。良くない。マダガスカル人はみんな中国人を嫌いだ。彼らは僕らの文化や生活をリスペクトしないから。」。
・・・・そうだね。言いたいことはよくわかるし、世界中でみんながそう言う。けど・・・恐らくこれから日本はもっとお金が無くなって、マダガスカルに来る日本人は、今よりもっと少なくなると思う。一方中国人は、今よりもっと多くの人がお金持ちになって、いまよりもっといっぱい来るようになると思うから。ビジネスチャンスという意味では、日本語より中国語を勉強した方が、チャンスは広がると思うんだけど・・・・。

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バオバブ三昧の午後、そして念願の夕焼け

バオバブには種類があるってことを実は今回初めて知った。地球上にあるバオバブは全部で10種。アフリカ大陸に1種、オーストラリアに1種、そしてここマダガスカルで8種見ることができるそう(歩き方情報)。
有名なバオバブ並木のバオバブは「グランディディエリ(Grandidieri)」という種類のもの。

Loving Baobabと呼ばれているフニィ(Fony)という種類のバオバブを見に行き・・・

そして午後3時過ぎ、またバオバブ並木へ戻ってきた私たち。
夕焼けまでは3時間もあるけれど、いいよ。待ちますよ。

並木をプラプラ歩いていると、日本人らしきご夫婦とガイドさんがいて、ペコリと頭を下げると向こうもペコリ。「こんにちはー」とあいさつをして「1人?1人で来たの?」「はい、1人です」「えーーーー!!勇気あるわね」。聞けば個人旅行でケニアとマダガスカル11日間の旅らしく・・・お金がおありなご夫婦なんだろうなぁと想像した。w
「マサイマラ、凄く良かったわよ!ジンバブエで行ったサファリより良かった!」とのことだったので、今後の参考にさせて頂きます。


さらにプラプラしてると、見覚えのある顔が。前日のCOTISSEで一緒だった人。
聞くとマダガスカル人のガイドさんだった。どうりで英語が話せるわけだ。
マダガスカルでの日程を話し、「本当はもっといっぱいマダガスカルを回りたい気持ちはあるんだけどね。如何せん交通が・・・」と言うと「マダガスカル人の自分にとってもアレは厳しいよ」と笑っていた。

子供たちの「ボンボン!!」(フランス語で飴のこと)攻撃を受けながらひたすら待ち・・・

そして時刻は18時。ついに夢が叶った瞬間。


母が言ってたセリフが浮かぶ。
「若い頃、アフリカの沈む夕陽を見たいと思ってた。ただ夕陽を見てみたいって。」

私は、今、アフリカでマダガスカルで、バオバブ並木に沈む夕陽を見ています。

 

王子さまの小さな星では“悪い草”のバオバブ。星の中を貫通し、3本生えたら星は破裂してしまうという。でも地球は大きいから。これだけバオバブが生えてても大丈夫だね。

でも。バオバブはファジズムの象徴として描かれていると言われている。このバオバブと同じくらいファシズムが広がったら・・・やっぱり地球も破裂してしまうのかもしれない。

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叶えた夢の代償

日が暮れ、街へと戻る。デマにCOTISSEに寄ってもらい空きを聞くと・・・「次は日曜(4日後)だ。」。
マジで?本当に????
っていうか私、月曜の飛行機のチケット買ってあるんですけど――――!!!!

これはもう、タクシーブルースに乗るしかない。嫌だけど、しょうがない。
覚悟を決めた。

頭の中ではブルーハーツの「TRAIN-TRAIN」が流れ始める・・・

弱い者たちが夕暮れ さらに弱い者をたたく
その音が響きわたれば ブルースは加速していく

 

COTISSEを後にし、今度はタクシーブルースの乗り場へ。
時間が遅かった為、カウンターは全て閉まっており、「finito」と。
うーーーん・・・どうしよう。

私が本当に困ってるのが分かったデマは、更に他のカウンターへ連れてってくれたのだけれど、その店のオヤジに聞くと

「満席。次は土曜だ。」

えぇぇぇぇーーー!?
ホントに?ホントにホント?
っていうかタクシーブルースなんて、行けばその場でその時に乗れるものなんじゃないの?
土曜のタクシーブルースに乗ったとこで、アンタナナリボに着くの日曜じゃん。

ど、どうしよう。
流石の私も焦る。どうしようどうしよう。

このままじゃこの街に缶詰だ。
ていうか月曜の飛行機・・・・4万も出したのに。
最悪日曜のCOTISSEでも間に合うけど、何かあったら間に合わなくなっちゃう。

あ、飛行機!!!
高いけど、背に腹は代えられない。最悪飛行機って手がある。

 

デマにホテルまで送ってもらう。
隣でデマが何か言ってるけどもうそれどころではなく、「ごめん、フランス語、わかんない。宿のオヤジに英語で聞こう」と答え、沈黙・・・・。

 

ホテルのオヤジに「どうしよう!」と事の顛末を話すと、

「飛行機は、3日に1度のフライトだから明日はない。次は明後日だ。タクシーブルースはいっぱいあるから、とりあえず明日の朝7時に行ってみなさい。乗れたら乗ればいいし、乗れなかったら飛行機のチケットを買って明後日の飛行機に乗ったらどうだ?」

そうか。まだ望みはあるかもしれない。
デマが明日もタクシーブルースと空港まで面倒見てくれるというので、7時に迎えをお願いした。

すぐにネットでAir Madagascarを調べるも、明後日のフライトが出てこない。
どうやら直前のフライトはネットで予約できないようなのだけれど、これでもし満席だったら完全にアウトだ。
気持ちが落ち込む。あーーー・・・マダガスカルの交通事情、舐めてたわ。

 

そんなことを考えてたら日本人3人組に遭遇し、少し話すと、なんと彼らはタクシーチャーターしてモロンダバへやってきたとのこと。お値段は1.200.000Ar。所要11時間。
そうか、最悪はその手がある。金にモノを言わせれば・・・・。

タクシーブルース、乗りたくない。
でも乗らざるを得ない。
というか、タクシーブルースにすら乗れないかもしれない・・・・
どうしよう・・・

私はこの街にバオバブを見に来た。
けれどバオバブしかないこの街で数日の足止めは、正直痛い。
あぁ・・・・どうしよう・・・・・。
泣きたい。泣いてもどうにもならないけれど。

 

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