10年で変わったこと(モノ・コト)

バックパッカーとして旅をしていなかった期間が約10年ある。
2016年、久しぶりに旅に出て、旅人の世界は変わったとびっくりした。

一番の大きな変化は、間違いなくネットとスマホ


Wi-Fi、スマホ、タブレットというものが世の中に登場し、旅人の世界や旅の仕方は間違いなく変わった。

昔旅をしていた頃は、泊まった宿にPCがあれば超ラッキー、ないのが普通で、街中にあるネットカフェを探したものだった。
ヨーロッパや中南米は、日本語を打てないことなんて普通で、英語やローマ字でメールを書いた。
日本のニュースを見られるのもその時だけ。
阪神が何年ぶり?に優勝し、道頓堀にダイブ!というニュースを読んだのは、確かインドにいた時だった気がする。w

それが今では、世界中どこでもWi-Fiを使えるようになった。旅人皆がスマホを持つようになった。
宿を選ぶ基準はWi-Fiが使えるかどうかだし、街で探すのはネットカフェではなく、Wi-Fiが使えるカフェやレストラン。
Wi-Fiさえあれば、自分のスマホですぐに日本のニュースを読むことができ、メールチェックが出来て、そしてLINEですぐに家族や友達にメッセージが送れる。
ブログやフェイスブック、ツイッターなどのSNSを使って、近くにいる旅人と連絡を取り、会うことだってできてしまう。

昔はスマホはおろか・・・ガラケーだって海外で使うことはできなかった。

ルート、交通、宿、レストラン・・・
昔は宿の情報ノートを読んだりしたけれど、今はそういった欲しい情報はすぐに検索して、調べられる。
宿や飛行機の予約もできる。
地図だって見られるから、紙の地図を持つ必要もない。
移動や宿で時間がある時、昔は本を読み、読み終わった本は宿に寄贈したり、旅人同士交換したけれど、今はスマホに入れてあるアニメや映画を見ている人も多い。
また、翻訳アプリを使えば、言葉が通じない場所でもなんとかなったりする。

海外、特に危険なエリアの旅においては、情報が身を守ることは間違いない。できるだけ正確な情報を収集し、冷静に分析することが一番大切だと思っている。

一方で、あまりにスマホ、Wi-Fi・・・に固執する人を見て、「なんだかな・・・」と思ってしまったのも事実だったりする。
何番のバスに乗ればいいか、どこのレストランが美味しいかーーースマホで調べるより、目の前にいる宿のオヤジに聞けばいいじゃん?
街中で迷子になった時ーーーネットカフェを探してスマホで調べるより、その辺歩いてる人に聞けばいいじゃん?
移動中ーーースマホやタブレット、PCに入ってる日本のアニメや映画にかじりついてないで、外の景色や周りの人を観察するのもおもしろいよ?

宿のフリースペースで、皆が一様に画面を見てる様を見ると、「なんだかなぁ・・・」と思ってしまうのは、私がオバさんだからなんだろうなぁ。

一方、現地の人も多くがスマホを持つようになった。
道端で野菜を売る少数民族のおばちゃんもスマホを持ち、暇を持て余してスマホで韓国ドラマを見てたり。
民族衣装を着る男性の腰元に目をやれば、スマホが挟まっていたりする。
若い子たちは自撮りに勤しみ、必死に盛ってSNSにアップして。
民族衣装を脱ぎ捨て、世界の流行のメイクや服を身に纏う様子を見ると、世界中、どこでも一緒なのだとほほえましくもある一方で、少し寂しくもあったりする。
おまけに昔はデジカメを持ってれば子供たちと仲良くなれたのに、今ではそういうこともなくなってしまった。

先進国に生まれ住む自分たちのみ文明の利器を享受し、それ以外の場所の人たちは昔のままでいて欲しい、なんて思うのは間違っているし、製品・技術の開発は皆が便利さ手軽さを手にするために行われていることだけれど。

それでも、それでも。
世界中、どこへ行っても目に入る景色が同じになっていくことは、どうしても残念に思えて仕方ない。
私のわがままだけれど。
だって私だって毎日着物を着て出かけ、浴衣を着て寝るなんてできないですから。

 

飛行機、チケット、フライト

昔はLCCなんていう航空会社はなかった。
今のような格安のチケットもなかった。
時間があればまずはまずタイへ行き、カオサンの旅行会社で目的地への安い航空券を買う、時間がなければ必死にネットで旅行会社のHPを調べて、安い会社から買う、そうやってチケットを買っていた。
買えるチケットは基本、日本発の日本基準の航空券のみ。
現地発の航空券を買うのはとても大変だったし手数料が半端なく高かった。

それが今では、スカイスキャナーで世界中のチケットが調べられ、購入できる。
小さな国の国内線だって、そのエリアのLCCだって。
(スカイスキャナーも万能ではないけれど。)
LCCのセールで購入すれば、1万円で海外往復が出来ちゃったりする。

リコンファームというものもなくなった。
十数年前はまだ、一部の航空会社はリコンファームが必要で、このリコンファームをしないと自分の予約が取り消されてしまう、という恐怖のシロモノだった。w
英語に自信がない私は、手に汗握りながら
「はろー。あい どぅ らいく とぅー りこんふぁーむ おぶ まい ふらいと・・・」
と電話をしたものだった。w

残念ながらお目にかかったことはないけれど、飛行機に喫煙席があったという話も聞く。今ではありえないよね。
アエロフロートの機内食でキャビアが出るという話も聞いたことがある。
ちなみにこのアエロフロート、当時はすごく安くて、時期によってはヨーロッパまで往復5万程度だったけれど、いかんせん遅延が多く、モスクワで乗り継げないが為に軟禁状態の1泊を過ごすというのは有名な話だった。(ロシアはトランジットでも事前にビザの取得が必要な為)

飛行機といえば、コンチネンタル航空やノースウエスト航空、USエアウェイズ、
スイス航空が無くなったのも大きなニュースかな。

 

ガイドブック、宿、街歩き

どこに行こう!と決めたら、昔はまずガイドブックを買った。(私は今でもそうだけれど。w)
ガイドブック無しに旅するのは大変だった。
ガイドブックは「地球の歩き方」。
バックパッカーで旅する場合、日本のガイドブックはこれ一択。
ただ歩き方はマイナーな国の場合情報が少なすぎるし(というかマイナーな国の場合、歩き方しかガイドブックが無いけれど)、また地方の田舎町などは乗ってないことも多いし・・・
それを補うのが「ロンリープラネット」(英語版)。
ロンプラの情報量と質は、いつも感心してしまう。
じゃあ歩き方じゃなくロンプラにすればいいじゃんって思うけれど、写真がないロンプラはどうしてもイメージが涌きづらく、結局今でも歩き方を愛用している。

昔は、歩き方に乗ってる宿に行くと日本人が多く、ロンプラに乗ってる宿に行くと欧米人が多い、そういうものだった。
そして歩き方の地図を頼りに街歩きをして、(この地図が間違ってることがよくあって、なかなかの曲者だった。w)方向が分からなくなったら方位磁針を見て、迷子になったら地元に人に道を聞いて街を歩いた。

さて、今では。
トリップアドバイザーや旅情報サイト、個人のサイトやブログのおかげで、ガイドブックの必要性は低くなった。
また「本」でなくPDFなどデータで持ち歩くことが可能になったのも大きな変化だと思う。
荷物を背負って歩くのに、本、その中でも特に歩き方は重たいから、つくづく有難いと思う。

ゲストハウスやユースホステルなどの安宿ですら、BOOKING.COMやAGODA、EXPEDIAなどで予約が可能になった。
サイトの口コミを見て、人が集まるようになった。
だから宿側も口コミを気にするし、実際泊まった宿のスタッフに「口コミよろしくね❤️」と言われることも多い。

昔は安宿をネットで予約するなんて出来なくて、どうしても予約をしたい時は(空港からむかう第1泊目など)宿へ直接メールを送った。
唯一の安宿予約サイトが、今でもあるけれどHostel worldというサイトで、これはホントよく利用させて頂いていた。

ちなみにうちの母や伯母曰く(共に60代半ば)
「私の時代は、往復ハガキでユースホテルを予約した!(国内です)」とのこと。w
世界の変化はめまぐるしい・・・・。

街を歩くのに、ガイドブックの地図はもはや必要ない。
Google mapやオフラインでも使えるmaps.meを使えばスマホで地図を見られるし、勝手にGPSを拾って現在地や自分が進んでいる方向すら教えてくれる。
迷子になることも少なくなったし、道を聞くことも減った。

すごくすごく便利になったと思うけれど、迷子になったから見つけられたもの、見られた景色、道を聞いたから出会えた人、そういうものはも減ってしまった。

 

お金も変わる


突然ですが。
「トラベラーズチェック」って知ってます?

トラベラーズチェック (出典:Wikipedia)
トラベラーズチェック(英: traveler’s cheque / 米: traveller’s check)とは、旅行や出張など海外渡航の際に、多額の現金を持ち歩かなくても済むように発行される外国旅行者向けの小切手。日本では旅行小切手(りょこうこぎって)ともいう。略してTCまたはT/Cということもあるが、日本国外では”T/C”という表現はあまり使われず、”TC”または”Cheque”が一般的な表現である。20世紀末頃まではよく使われていたが、日本国内では2014年3月31日を持って全ての販売が終了した。

基本はドル建て、AmexのTC。
万一盗まれても、紛失しても、再発行が可能な小切手。
そのまま使うことは稀で、これを銀行や両替所に持っていって現地のお金に両替してもらう。
昔はこれと少額のドルと日本円の現金を持って旅をした。
もちろんクレジットカードもcity bankのワールドキャッシュカードも持っていたけれど、先進国以外ではATMがどこにでもあるわけではなかったから、みんなTCを使っていた。

日本ではTCの新規発行は2014年の3月に終了してしまったわけだけれど・・・このニュースを聞いた時の衝撃は大きかった。w

TCがなくなろうとしている今、
旅人のお金は少額の現金と、海外で使えるキャッシュカードと、クレジットカードになった。
世界中、田舎町に行かなければATMがあるし現地通貨、国によっては外貨のドルやユーロで引き出せる。

TCで旅をしていた私にとっては、便利である一方、カードが引き込まれた時や強盗に襲われた時のことを考えると・・・やっぱりTCが恋しくなってしまう。w

 

海外ならではの、VISAやパスポート

私が最初に取ったパスポートは、まだIC旅券ではなかったし、10代だったので、取得できたのは5年用の青いパスポート。
20歳成人でなく18歳成人になったら、パスポートも18歳から10年用が取れると先日新聞で読んだけれど、これも大きな変化だと思う。

当時はe-VISAなるものもなかった。
ビザが必要な国は、日本で大使館に行って事前取得したり、近隣の国でVISAを取ったり。
それが今やe-VISAが導入されてれば、世界のどこにいてもVISAを申請し、クレジットカードで決済できる。
ESTAもなかったから、そのままアメリカに行けた。
2016年にミャンマーに行ったら、
強制両替もなくなっていたし、いつの間にか陸路で入国できる国になっていた。

ゲートが開いて通れるようになった国境があり、VISAが必要なくなった国がある一方で、残念ながら状況が悪化して行けなくなってしまった国も沢山ある。
例えばシリア、イエメンなど。
昔は旅ができた国だし、そして人が優しく親切な場所だったと聞く。

まだまだ10年の変化は沢山あるけれど、今思いつくのはこのくらい。

オーバー30の旅人と出会ったときにこういう話をすると、確実に盛り上がるのだけれど、リコンファームやTCなんて、今の大学生バックパッカーは知らないだろうなぁ。w

この先の10年、世界はどうなっていくんだろう。
お金やクレジットカードもなくなり、パスポートすら無くなってたりして。